奨学金を利用する前に知っておきたいこと

子供の学費を学資保険等で積み立てて準備しているご家庭も多いと思います。学資保険の積立金だけでは不足する場合には奨学金の利用も検討する必要があります。我が家も学資の積み立て分では足りず奨学金制度を利用することになりそうです。

実際、私の主人も奨学金を利用して大学を卒業しており、過去15年間にわたって返済をしていました。

奨学金って複雑でわかりづらいですよね。ここでは、代表的な奨学金制度である「日本学生支援機構」の奨学金制度についてまとめています。

安易に奨学金を使うのではなく、親子でよく話し合ったうえで申し込みを行いましょう。

奨学金とは?

経済的理由で就学が困難な学生に対して、進学資金を「貸与」もしくは「給付」する制度
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度は、国の教育事業の一つとして奨学金利用者の9割近くが利用しています。

奨学金の種類にはどんなものがあるの?

代表的な日本学生支援機構の奨学金には大きく分けて「給付型」「貸与型」の2種類あります。

「給付型の奨学金」 返済が不要。世帯年収、住民税非課税世帯(準ずる世帯)のみ対象

「貸与型の奨学金」 返済が必要。無利子の「第一種奨学金」と有利子の「第二種奨学金」

「貸与型の奨学金」は学生本人が借りて、学生本人が卒業後に全額を返還(返済)していかなければなりません。貸与型の奨学金は、借主・返済主が学生本人の金利が低い教育ローンです。借りる額と返済額を把握し、毎月どれだけのお金を何歳まで返還するのかよくシミュレーションを行いましょう。

奨学金貸与・返還シミュレーション

申し込み方法は?

申し込み方法には「予約採用」「在学採用」「緊急採用・応急採用」の3種類あります。

予約採用
 入学前年に在学中の高校などを通じて申し込む方法。予約採用で決まらなかった場合も再度在学採用で申し込むことができる。

在学採用
 大学、専門学校に入学後、その学校を通して申し込む方法。

緊急採用・応急採用
 家計の急変で、奨学金が緊急に必要になった時在学中の学校を通して申し込む方法。

保証制度とは?

奨学金を利用するには、保証が必要です。保証制度には、「人的保証制度」「機関保証制度」の2種類あります。

人的保証制度
一定の条件にかなった「連帯保証人」と「保証人」が必要で、奨学金を利用する本人が依頼し、奨学金の返還について連帯保証人および保証人を引き受けてもらう制度です。

「連帯保証人」奨学金を利用する本人と連帯して返還の責任を負う人。原則として「父母」
「保証人」奨学金を利用する本人と連帯保証人が返還できなくなったときに、代わって返還する人。原則として「おじ・おば・兄弟姉妹等」

メリット  保証料が不要
デメリット 奨学生が万が一自己破産した場合、連帯保証人、保証人の順に返済を求められる

機関保証制度
保証機関が保証するため、連帯保証人、保証人は必要ありません。保証料は毎月の振り込みされる奨学金から引かれます。「所得連動返還方式」を選択した場合は機関保証制度を利用することになります。

メリット  自分の責任のみで申し込み可能。
デメリット 保証料が毎月かかる。借りる額などによって変わるが、保証料は月500円~7000円ぐらい。

奨学金の注意点

学力要件や、年収、家族構成によっては希望の奨学金を受けられないことがあります。また、進学先、自宅通学か自宅外通学かによっても借りられる金額が異なります。

一番申し込み要件が厳しくない「第二種奨学金」であっても、所得上限額の目安は前年度の世帯収入が1100万円以下となっています(給与所得世帯で4人家族の場合)


初年度納付金(入学金)や新生活の準備資金は先に用意しておきましょう!!奨学金はすぐに受け取れるわけではないので、入学手続きには間に合いません。

「予約採用」の場合、大学等に進学後「進学届」を提出することで正式な奨学生となり、奨学金が指定口座に振り込まれるようになります。「在学採用」の場合、受け取りは6月以降になるのが一般的です。



奨学金を受けられるのは、標準就業年限の終了までです(4年制大学なら4年間)。成績不振で留年した場合や、退学した場合は不適合となり、奨学金の支払いは停止されます。

奨学金の振り込みが始まったら、年に1回翌年度分の「奨学金継続願」を提出することで、原則として卒業するまで奨学金を受け取れます。



申し込み時に「返還方法」、第二種奨学金の場合は「利息の算定方法」を選択しなくてはなりません。


返還するのに無理のない金額か事前にきちんと確認しましょう。奨学金の利用は計画的に!!

奨学金は「返済能力がわからないときに借りる」ので、学生時代に多額の奨学金を借りても、将来それに見合った職に就けるとは限りません。長い年月返還を続けること、15年もしくは20年の期間返還を続けていくことを考え、利率が低いからといってたくさん借りるのではなく、本当に必要な金額を借りるようにしましょう。

いつから返済がはじまるの?

卒業の半年後から返還が始まります。

例)2021年3月に卒業した場合、2021年の10月から原則口座振替で毎月の返還額が引き落としになります。引き落とし日は毎月27日(金融機関が休業日の場合は翌営業日)となっています。

返還の仕方は?

「定額返還方式」毎月均等に分割して返す「月賦返還」
        毎月払いと半年払い(1月と7月)を併用した「月賦・半年賦併用返還」

「所得連動返還方式」2017年以降に第一種奨学金を借りた人が対象。本人の前年の年収に応じて、翌年10月から1年間の返還額が決まる。

「所得連動返還方式」の注意点
①2017年以降に第一種奨学金を借りた人のみ対象。
②前年の所得が低いときは毎月の返還額が少なく、所得が高いときは返還額が多くなるので、所得が低い期間が長くなるといつまでも返還が終わらないということも。
③保証制度は人的保証は使えないため、機関保証が必要となるため保証料がいる。毎月の貸与額から自動的に保証料が差し引かれるため、貸与額を全額奨学金として受け取ることはできない。
④定額返還方式を選択している場合でも途中で変更可能。しかし、保証制度を人的保証にしている場合、機関保証料を一括で支払う必要がある。

利息はどれくらいかかるの?

利率の上限は年3.0%です。また、奨学金貸与中および在学猶予・返還期限猶予中は無利息です。

有利子の第二種奨学金については、申し込み時に利率の算定方法を選択する必要があります。「利率固定方式」「利率見直し方式」のどちらか一方を選択します。利率の算定方法は、申込時に選択したあとも貸与期間が終了する年度の一定期間まで変更することができます。

「利率固定方式」では、貸与終了時に決定した利率が、返還完了まで適用されます。将来、市場金利が変動した場合も、利率は変わりません。

「利率見直し方式」では、貸与終了時に決定した利率を、おおむね5年ごとに見直します。将来、市場金利が変動した場合は、それに伴い利率も変わります。

日本学生支援機構のホームページ、利率の算定方法の選択についての記載があります。実際の利率について載っています。第二種奨学金貸与利率を参考にしてみてくださいね。

奨学金の返還例・我が家の場合

20年前とは利率も違うし少し制度も変わっていると思うのであまり参考にならないかもしれませんが・・・。ちなみに私立文系4年間の奨学金の返還を行いました。

奨学金の返済額
15957円/月 × 12か月 × 15年 = 2872260円
60000円/年 × 10年 = 600000円

合計 3472260円

奨学金内訳
私立文系大学、自宅通い。交通機関では1時間強の通学時間だったため初めは交通機関で通っていたが、大学2年時より自宅から軽自動車で通学。在学中アルバイトもしていたが、軽自動車の維持費と家庭の事情で途中奨学金を増額。日本学生支援機構より貸与。

奨学金を払い終えて
数年前にやっと返済が終わりましたが、総額で350万円ほどの額を返済していたことになります。最初の10年間は年間25万円、残りの5年間は年間20万円ほどの額を奨学金の返済にあてていました。
幸いにも私は奨学金の支払いがなかったため、1人分の奨学金の返済で済みましたが、夫婦2人とも奨学金の返済があったとすると額も倍・・・親の手をかりることのできない地元から離れた地での子育てでは、3人の子供を育てる余裕はなかったと思います。

おわりに

子供が生まれた月、第3子以降、所得制限対象外の場合などで金額は異なりますが、すべての児童手当を貯蓄すると「総額約200万円」にもなるといわれています。
子供の進学費用については早め早めの準備が大切なのは言うまでもありませんが、何が起こるかわからないのが人生、想定外の出費や、収入も上がりづらく教育費も理想とする額をなかなか貯めることが出来ないのが現状ではないでしょうか。
自分たちの長生きのリスクに備えたお金の準備も必要ですよね。

考えないといけないことはたくさんありますが、頑張って乗り切っていきましょう!



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